英検®準1級で間違えやすい文法TOP5
はじめに
前回に引き続き、今回は英検®準1級で頻出の文法ミスとその対策のご紹介です。
英検®準1級は、大学中級程度の英語力が必要です。
そのため、2級以上に高度な文法知識が求められます
第1位:強調のための倒置
間違った例
- Never I have seen such a beautiful scenery.
正しい例
- Never have I seen such a beautiful scenery.
解説
否定の副詞「Never」が文頭に来る場合、語順が倒置します。
この例では、「have」が助動詞なので、「have I」の順になります。
間違った例
- Only after much deliberation he made the decision.
正しい例
- Only after much deliberation did he make the decision.
解説
「Only after + 副詞句」が文頭に来る場合も倒置が起こります。
この場合は、助動詞「did」を主語の前に置きます。
克服法
否定の副詞(never, rarely, seldom, hardlyなど)や、「only + 副詞句」などが文頭に来る場合に倒置が起こることを理解し、正確な語順で文を作る練習をしましょう。
疑問文の語順と似ていると考えると覚えやすいかもしれません。
第2位:仮定法における動詞の形
間違った例
- If I had known that, I would told you.
正しい例
- If I had known that, I would have told you.
解説
過去の事実に反する仮定を表す仮定法過去完了では、「if + 主語 + had + 過去分詞」と「主語 + would have + 過去分詞」の形を用いるのが正解です。
間違った例
- It is essential that he attends the meeting.
正しい例
- It is essential that he attend the meeting.
解説
「It is essential that ~」のような提案、要求、命令などを表す表現の後ろのthat節では、動詞は原形(またはshould + 原形)を用いるのが一般的です(仮定法現在)。
克服法
仮定法過去、仮定法過去完了、仮定法未来の基本的な形をしっかりと覚え、それぞれの用法を理解しましょう。
「wish」や「as if」などで使われる仮定法も合わせて学習することが重要です。
第3位:類似した接続詞・副詞の使い分け
間違った例
- Despite it was raining heavily, we decided to go hiking.
正しい例
- Although it was raining heavily, we decided to go hiking.
解説
「despite」は前置詞であり、後ろには名詞句が続きます。
一方、「although」は接続詞であり、後ろには節(主語 + 動詞)が続きます。
この文では「it was raining heavily」という節が続いているため、「although」を使うのが適切です。
間違った例
- He studied hard, so nevertheless he failed the exam.
正しい例
- He studied hard; nevertheless, he failed the exam.
解説
「so」は接続詞ですが、「nevertheless」は副詞です。
2つの独立した節を接続するには、接続詞またはセミコロン(;)と副詞が必要です。
この文ではセミコロンと「nevertheless」を使うのが適切です。
克服法
類似した接続詞や副詞の意味の違いだけでなく、文法的な機能(接続詞なのか副詞なのか、後ろに続く語句は何かなど)を意識して学習しましょう。
例文を多く読み、それぞれの語がどのような文脈で使われているかを確認することが大切です。
第4位:複雑な文構造における句と節の理解
間違った例
- Being tired, an early night was needed.
正しい例
- Being tired, I needed an early night.
解説
間違った例では、「Being tired」という分詞構文が「疲れていたので」という意味を表そうとしていますが、主節の主語が「an early night(早寝)」となっており、論理的に「早寝」が疲れているわけではないため、意味が通りません。これは、分詞構文の主語が主節の主語と一致しない場合に起こる誤り(ぶら下がり分詞)です。
間違った例
- A famous novel, the author won many awards for “The Great Gatsby.”
正しい例
- “The Great Gatsby,” a famous novel, won many awards for its author.
解説
間違った例では、「A famous novel」という名詞句が文頭にありますが、これは「the author」を修飾しようとしており、文法的にはぶら下がった修飾語(dangling modifier)に近い状態になっています。
意味としては「有名な小説である『グレート・ギャツビー』の著者は多くの賞を受賞した」と言いたいのですが、構造が曖昧です。
正しい例では、「”The Great Gatsby”」の後にコンマで挟んで「a famous novel」という同格句(appositive)を置くことで、「グレート・ギャツビー」が有名な小説であることを明確にしています。また、主語を「”The Great Gatsby”」とし、その著者を指すために「its author」としています。
克服法
分詞構文を使う際は、その主語が主節の主語と一致するかどうかを必ず確認しましょう。
また、同格句を使う場合は、それが修飾する名詞の直後に置くなど、適切な位置に配置することが重要です。
複雑な文を読む際には、文の構造を意識しながら読む練習を心がけましょう。
第5位:冠詞と限定詞のより高度な用法
間違った例
- I went to hospital to visit my friend.
正しい例
- I went to the hospital to visit my friend.
解説
特定の目的で病院に行く場合は冠詞「the」は不要ですが、友人を訪ねるという特定の目的の場合は「the hospital」とするのが一般的です。
間違った例
- Every students must submit their assignments by Friday.
正しい例
- Every student must submit his or her assignment by Friday.
解説
「every」は単数扱いなので、続く名詞は単数形になり、代名詞も単数形(his or her)を用いるのが原則です。
克服法
冠詞の基本的な用法に加えて、特定の場所や状況における冠詞の有無のルールを覚えましょう。
また、「each」「every」「either」「neither」などの限定詞は、単数扱いなのか複数扱いなのか、どのような場合に使うのかを正確に理解することが大切です。
まとめ
今回は、英検準1級で頻出する文法ミスTOP5とその対策について解説しました。
- 強調のための倒置: 否定の副詞句や特定の副詞句が文頭に来る場合の倒置を理解しましょう。
- 仮定法における動詞の形: 仮定法過去完了や特定の表現における仮定法の用法をマスターしましょう。
- 類似した接続詞・副詞の使い分け: 意味と文法的な機能を理解し、文脈に応じて適切に使い分けましょう。
- 複雑な文構造における句と節の理解: 分詞構文や同格句などを理解し、使えるようにしましょう。
- 冠詞と限定詞のより高度な用法: 特定の状況における冠詞の有無や限定詞の細やかな使い分けを習得しましょう。
準1級は大学入試で満点に換算されるケースが多いです。
今年度からS-CBTの受験回数が、各期間2回から3回に増えました。
従来型と合わせると各期間4回、年度内で最大12回受験が可能です。
高校1年生・2年生の方はもちろん、高校3年生や既卒生の方も、まだまだチャンスはあります。
ぜひ英検®に挑戦してみてください。