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2026.07.13

スタッフブログ

「志望理由が思いつかない」のは、あなたに中身がないからではない——書けない人に共通する3つの誤解

カウンセリングの初回で、机に向かったまま一文字も書けずに固まってしまう生徒がいます。理由を聞くと、返ってくる言葉はだいたい同じです。

「書きたいことが、何もないんです」

でも、不思議なことに、その生徒たちと30分ほど雑談をすると、志望理由書の核になりそうな話がぽろぽろ出てきます。部活で後輩の指導方法を工夫した話、祖母の入院をきっかけに考えたこと、探究学習で調べたテーマの意外な続き、興味本位で参加したボランティア活動——本人だけが、それを「書く価値のある話」だと思っていないのです。

志望理由が思いつかないのは、あなたの高校生活に中身がないからではありません。多くの場合、原因は経験の不足ではなく、3つの誤解にあります。

誤解1:「将来の夢」が最初から決まっていないと書けない

一番多い誤解がこれです。「医者になりたい」「教師になりたい」のような明確な夢がまだないから、志望理由も書けない、という思い込みです。

誤解のないようにお伝えすると、将来の夢や目標は、あるに越したことはありません。志望理由書は「過去の経験→大学での学び→将来」を一本の線でつなぐ書類なので、線の終点である将来像が具体的なほど、書類全体の説得力は増します。

ただし、ここからが大事なところです。夢は「最初から持っているもの」ではなく、「掘り下げて育てていくもの」です。今の時点で職業名が言えなくても、出発点さえあれば志望理由書は書き始められます。

その出発点とは、「追いかけたい問い」です。

  • 「なぜ地元の商店街は衰退したのに、隣町は賑わっているんだろう」
  • 「部活で、同じ練習をしても伸びる人と伸びない人がいるのはなぜだろう」

こうした問いを掘り下げていくと、「この問いを解く学問はどこにあるのか」「解いた先で自分は何をしたいのか」が少しずつ見えてきます。それが将来像の原型です。実際、カウンセリングを重ねる中で、最初は漠然としていた興味が具体的な進路の言葉に育っていく生徒はたくさんいます。

「夢がないから書けない」と白紙の前で止まるのではなく、「問いから夢を育てる」方向に頭を切り替える。順番が逆なだけで、ゴールは同じです。

誤解2:いきなり「完成した文章」を書こうとしている

2つ目の誤解は、書き方の順番です。

書けないと悩む生徒のノートを見せてもらうと、たいてい1行目に「私が貴学を志望する理由は」と書いて、その先が白紙になっています。つまり、材料を集める前に、清書を始めているのです。

志望理由書には、清書の前に「材料出し」の工程があります。自分の経験を書き散らかす、気になっていることを並べる、大学のシラバスを眺めて反応した科目をメモする——きれいな文章にする必要のない、この散らかった工程こそが本体です。

夏スタートの記事で「初稿はうまく書こうとしなくていい」とお伝えしたのは、この意味です。白紙の前で固まっている時間は、実は1文字も前に進んでいません。

誤解3:「立派なこと」を書かなければいけない

3つ目の誤解は、内容のハードルです。

「社会に貢献したい」「グローバルに活躍したい」——書けない生徒ほど、こういう大きな言葉から書こうとします。自分の日常はありふれていて書く価値がない、だから立派な言葉で格上げしなければ、という心理です。

しかし実際の審査では、これは逆に働きます。大きな言葉は誰でも書けるので、書いた瞬間に「その他大勢」に埋もれます。先日の記事でご紹介した「どの大学にも当てはまることを書いてしまう」パターンと同じ構造です。

審査側の記憶に残るのは、立派さではなく具体性です。「後輩のためにパス練習のメニューを変えた」「グループ活動で行き詰ったのでメンバー全員と話をした」という半径5メートルの話は、一見地味ですが、あなたにしか書けません。そして「なぜ変えよう(しよう)と思ったのか」「変えて(実施して)何が起きたのか」を掘っていくと、教育、組織、コミュニケーション——さまざまな学問への線が伸びていきます。

ありふれた日常を書く価値のある話に変えるのは、出来事の大きさではなく、掘り下げの深さです。

3つの誤解の先にある、本当の難所

ここまでの3つの誤解が解ければ、「何も書けない」状態からは抜け出せるはずです。夢ではなく問いを探し、清書ではなく材料出しから始め、立派さではなく具体性で書く。

ただ、正直にお伝えすると、この先にもう1つ、より本質的な難所があります。

それは、自分の話のどれに価値があるか、自分では判断できないということです。

冒頭でご紹介した生徒たちがそうだったように、本人にとって「当たり前の日常」と「書く価値のある経験」は、内側からは区別がつきません。後輩の練習メニューの話を「こんなの志望理由になりませんよね」と本人が切り捨て、ありきたりな「社会貢献」を選んでしまう——これが独学の志望理由書づくりで最も起きやすいことです。

原石に気づけるのは、たいてい外からの「それ、もっと詳しく聞かせて」という問いかけです。AIC推薦アカデミーが添削だけでなく週1回のカウンセリングに時間をかけているのは、まさにこの「掘り出す」工程と、掘り出した問いを将来像にまで育てる工程のためです。総合型選抜でも学校推薦型選抜でも、志望理由書のこの土台部分は変わりません。材料が見つかりさえすれば、その先の書き直しは着実に進みます。

まとめ:書けないのは、能力ではなく順番の問題

  • 夢は「最初から持っているもの」ではなく「問いから育てるもの」。今なくても書き始められる
  • 清書から始めない。散らかった「材料出し」が本体
  • 立派な言葉より、半径5メートルの具体的な話
  • ただし、自分の話の価値は自分では判断しにくい。ここが独学の壁

白紙の前で固まっている人は、能力が足りないのではなく、順番と方法を誰にも教わっていないだけです。

「材料になりそうな話があるのか、自分では全然わからない」という方は、一度お話を聞かせてください。初回のご相談では、雑談のようなやり取りの中から、志望理由書の種になりそうな経験を一緒に探すところから始めます。話してみると、大小はあれど何かしらの種が出てくるものです。まずはその種を見つけるところから、一緒に始めましょう。

見つけた種を志望理由書へ育てていく「夏からコース」を開講します。まずは現状をお聞かせください。

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