オープンキャンパスを「志望理由書の材料集め」に変える方法——行くだけでは何も残らない
7月〜8月はオープンキャンパスのシーズンです。カウンセリングでも「今度〇〇大学のオープンキャンパスに行ってきます」という報告をよく受けます。
ところが、参加後の生徒に「どうだった?」と聞くと、返ってくる答えの多くはこうです。
「キャンパスがきれいでした」「学食がおいしかったです」「雰囲気が良かったです」
……残念ながら、このどれも志望理由書には使えません。
オープンキャンパスは、志望理由書の材料を集められる貴重な機会です。しかし「行くこと」自体には何の価値もなく、何を確かめに行くかを決めてから行くかどうかで、得られるものがまったく変わります。今回は、推薦入試を目指す高3生のためのオープンキャンパスの使い方をお伝えします。
「参加したこと」は評価されない
まず前提の確認です。志望理由書に「オープンキャンパスに参加し、貴学の雰囲気の良さに惹かれました」と書く受験生は毎年たくさんいますが、これは評価されません。
理由は単純で、オープンキャンパスには誰でも参加できるからです。参加は実績ではなく、「雰囲気が良い」は感想であって志望理由ではありません。火曜の記事でご紹介した「どの大学にも当てはまることを書いてしまう」パターンの、オープンキャンパス版と言えます。
審査側に伝わるのは、参加の事実ではなく、そこで何を確かめ、何に気づき、それが自分の目標とどう繋がったかです。つまりオープンキャンパスは、行く前の準備がすべてなのです。
見るべき場所は「パンフレットに載っていないもの」
限られた滞在時間で優先すべきは、家では調べられないものです。
模擬授業・体験講義は最優先です。ここで見るべきは「面白かったか」ではなく、「自分が関心を持っているテーマと、この学部の学問がどう繋がるか」。授業中に出てきたキーワードや教員の問題意識は、後で志望理由書に書ける一次情報になります。メモは必ず取ってください。記憶は、家に着く頃には「面白かった」しか残りません。
在学生は、パンフレットが絶対に教えてくれない情報源です。個別相談ブースの学生スタッフには、受験の話だけでなく「入学前のイメージと違ったこと」を聞いてみてください。良い面も悪い面も含めたリアルな答えは、志望理由の解像度を一段上げてくれます。
研究室・ゼミの展示がある大学なら、必ず立ち寄りましょう。前回の記事で「読んでもいない教授の名前を出すのはNG」とお伝えしましたが、展示で実際に話を聞いた研究であれば、堂々と自分の言葉で書けます。
逆に、施設見学や学食体験は「余った時間で」で構いません。楽しい時間ではありますが、志望理由書の材料にはなりにくい部分です。
質問は「リストの丸暗記」では機能しない
「オープンキャンパスでの質問例」を検索すると、質問リストがたくさん出てきます。たとえばこんなものです。
- 「1年生ではどんな授業がありますか?」
- 「就職先はどんな業界が多いですか?」
聞いても構いませんが、正直なところ、この種の質問の答えはほぼすべて大学のサイトに載っています。 ネットで調べられることを現地で聞くのは、貴重な質問機会の無駄遣いです。
本当に効く質問は、リストからは作れません。なぜなら、良い質問とは「自分の志望理由の仮説」を確かめる質問だからです。
たとえば「地域医療に貢献したいから看護学部を志望する」という仮説を持っている生徒なら、「実習先にはどんな地域の医療機関がありますか」「在宅看護を学べる科目はどの学年からありますか」という質問が自然に生まれます。この答えは、その生徒の志望理由書でしか使えない、完全にオリジナルの材料になります。
つまり順番はこうです。仮説(自分の志望理由の下書き)が先、質問が後。 仮説を持たずに参加すると、聞くべきことが見つからないまま、キャンパスの綺麗さだけを見て帰ることになります。
そしてこの「仮説づくり」こそ、自己分析そのものです。夏スタートの記事でお伝えした通り、ここは一人で進めるのが最も難しい工程でもあります。AIC推薦アカデミーでも、オープンキャンパスを控えた受講生とは、カウンセリングの中で「その大学で何を確かめてくるか」を整理することがあります。同じ大学に行く生徒同士でも、確かめるべきことは一人ひとり違います。
参加できなくても、合否には影響しない
ここまで活用法をお伝えしてきましたが、大切なことを1つ。オープンキャンパスへの参加は、推薦入試の必須条件ではありません。
遠方で行けない、部活の大会と重なった、日程が終わってしまった——そうした事情で参加できなくても、それ自体が選考で不利になることはありません(※出願条件として参加を課す一部の大学・学部を除きます。募集要項で必ず確認してください)。
参加できない場合は、同じ目的を別の手段で果たせば十分です。
- オンラインオープンキャンパス・大学公式の動画:模擬授業の代わりになります。多くの大学が学部紹介や授業動画を公開しています
- シラバス(授業計画)の閲覧:どの学年でどんな科目を学ぶかは、実はキャンパスに行かなくても公式サイトでかなり深く調べられます
- 教員の著書・研究室サイト:研究室展示の代わりに。実際に読んだうえで触れれば、志望理由書の強い材料になります
重要なのは「行ったかどうか」ではなく、その大学について一次情報に触れ、自分の志望理由の仮説を確かめたかどうかです。逆に言えば、参加していても仮説なしに雰囲気だけ見て帰った人より、参加せずにシラバスを読み込んだ人の方が、説得力のある志望理由書を書けます。
保護者の方へ:同行するなら「別行動」がおすすめ
保護者の方が同行するご家庭も多いと思います。その場合は、現地では別行動をおすすめします。
お子さまが常に隣にいると、在学生や教員への質問を親が代わりにしてしまいがちです。しかし面接で話すのは本人。現地で「自分で聞く」経験そのものが面接の練習になります。保護者の方は、保護者向け説明会で学費・奨学金・就職実績などの情報収集を担当し、帰り道でお互いの収穫を交換する——この分担が一番機能します。
まとめ:行く前の30分が、当日の3時間を決める
オープンキャンパスを推薦入試に活かすポイントをまとめます。
- 「参加した」「雰囲気が良かった」は志望理由書に書けない
- 優先すべきは模擬授業・在学生・研究室——パンフレットにない一次情報
- 質問リストの丸暗記より、「自分の志望理由の仮説」から逆算した質問を
- 参加は必須ではない。行けない場合はオンラインOCやシラバスで代替できる
- 保護者は現地では別行動、情報収集の分担を
要するに、オープンキャンパスの成果は当日ではなく、行く前の準備で決まります。 そしてその準備の中身は、志望理由の仮説がどこまで固まっているかに左右されます。
「仮説と言われても、まだ志望理由が固まっていない」という方は、参加前に一度ご相談ください。今の状況を伺ったうえで、この夏のオープンキャンパスで何を確かめてくるべきか、一緒に整理します。8月のオープンキャンパスにはまだ間に合います。
オープンキャンパスで集めた材料を志望理由書に落とし込むところまで、「夏からコース」でサポートします。詳細はお問い合わせください。
▼お問い合わせ・資料請求はこちら