志望理由書の書き直しが進まない——2稿目でやってはいけない直し方
書き上げた初稿を印刷して、机に置いてみてください。
読み返すと、直したい場所はすぐに見つかるはずです。「〜と思いました」が3回続いている。接続詞がぎこちない。この文、長すぎる。赤ペンを持てば、余白はあっという間に埋まっていきます。
そうして表現を整えた2稿目を読み返して、こう感じたことはないでしょうか。きれいにはなったのに、良くなった気がしない。
夏休みのこの時期、初稿を書き終えた生徒たちが次々とこの壁に当たります。今回は、志望理由書の「2稿目」で多くの受験生が陥る直し方の誤解と、書き直しの正しい順番についてお伝えします。
「直す」=「表現を整える」という誤解
初稿の次にやるべきことを、ほとんどの受験生は「文章をきれいにすること」だと考えています。誤字を直し、言い回しを整え、格好いい言葉に置き換える。
しかしこれは、「直す」という作業にはなっていません。
初稿の問題は、たいてい表現ではなく中身と構造にあります。以前の記事(「残念な志望理由書3つのパターン」)で書いた通り、初稿の典型的な問題は「大学のことばかりで自分のことが書けていない」こと。この問題は、どれだけ文章を磨いても解決しません。むしろ表面が整うことで、中身の薄さが余計に目立つことすらあります。
大学の審査側は、文章の巧拙を採点しているのではありません。見ているのは考えた深さです。だから書き直しで増やすべきは「きれいさ」ではなく「深さ」——ここを取り違えると、3稿目、4稿目と重ねても同じ場所をぐるぐる回ることになります。
書き直しには順番がある
では、2稿目では何をすべきか。書き直しは、大きい順に直すのが原則です。
最初に見直すのは、話の骨格です。「きっかけの経験→学びたいこと→なぜこの大学か→将来像」が一本の線でつながっているか(そもそもまだ初稿を書けていない方は、先に「夏スタートの記事」で初稿の作り方からご覧ください)。読み手が「だからこの大学なのか」と納得できる流れになっているか。ここが切れていたら、段落を丸ごと入れ替えたり、書き直したりする必要があります。
次に見直すのは、各段落の中身の濃さです。特に経験を語る部分。「部活動を頑張り、協調性を学びました」で終わっていないか。どんな場面で、何に悩み、どう考えたのか——具体が一段深くなるだけで、書類の説得力は大きく変わります。
表現を整えるのは、一番最後です。骨格と中身が固まってから、ようやく壁紙の出番です。逆に言えば、初稿と2稿目の間で誤字修正に時間を使うのは、まだ早すぎます。その段落自体が消えるかもしれないのですから。
一番つらいのは「書いた部分を捨てる」こと
順番が分かっても、2稿目には初稿にはなかった心理的な壁があります。せっかく書いた文章を消すことへの抵抗です。
初稿で時間をかけて書いた段落ほど、愛着が湧きます。骨格を見直した結果「この段落は志望理由とつながっていない」と薄々気づいても、消すのはもったいない。だから残したまま、周りの表現だけをいじる——2稿目が「きれいになったのに良くなっていない」最大の理由は、実はここにあります。
書き直しがうまい受験生は、例外なく捨てるのがうまい。そして捨てる決断は、自分ひとりでは難しいものです。自分では「良い段落」に見えているものが、読み手には不要に映っていることに、書いた本人は気づけないからです。
スクラップ&ビルドのように、一度作成した原稿をまっさらにして書き直す受験生もいます。
自分で気づく方法が、ないわけではない
第三者に見せる前に、自分でできるチェックもあります。
一つは、声に出して読むこと。黙読では流れてしまう論理の飛びが、音読すると引っかかります。「あれ、なんでこの話からこの話に飛ぶんだっけ」と自分でつっかえた場所が、骨格の切れ目です。
もう一つは、一晩以上置いてから読むこと。書いた直後の自分は、書類の一番甘い読者です。時間を置くと、少しだけ審査側の目に近づけます。
ただし、この自己チェックで見つけられるのは切れ目の「場所」までです。なぜ切れているのか、どう埋めるのか——たとえば経験と志望学部をつなぐ一段深い掘り下げが必要なのか、そもそも据えたテーマを見直すべきなのか(テーマ選びの考え方は「志望理由が思いつかない」の記事をご覧ください)。ここから先は、問いを投げてくれる相手との対話の方が、圧倒的に速く進みます。
まとめ:2稿目は「きれいに」ではなく「深く」
- 初稿の次にやるのは表現の修正ではない。直す順番は骨格→中身→表現
- 「きれいになったのに良くなっていない」の原因は、書いた部分を捨てられないこと
- 音読と「一晩置く」で切れ目の場所は見つかる。埋め方は対話で掘る
- 誤字・言い回しの調整は最後の最後でいい
初稿が完成品の設計図だとしたら、2稿目からの作業はリフォームです。壁紙より先に、間取りを疑ってください。
書き直しの残り時間は、出願時期によってかなり違います(残り時間ごとの進め方は「8月からで間に合う?」の記事に書いた通りです)。AIC推薦アカデミーの書類作成講座では、初稿を拝見したうえで「どこから直すか」の順番を一緒に決め、書き直しのサイクルを伴走します。受講生にはカウンセリングを無料でご提供していますので、骨格の掘り下げから対話で進めたい方はご相談ください。
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